もはや避けては通れない!デジタルメディアの耐久性の問題

使い勝手がよく便利なデジタルメディア

職場では取引先への資料の提出や納品に、家庭では大切な思い出を撮影したデジタルカメラの写真や動画データの保存などに、現在CD-RやDVD-Rなどの記録メディアは当たり前のように使われています。

最悪の事態を回避するために知っておきたいこと

しかしながら、その記録メディアに寿命があることについてはあまり真剣に考えられていないのが現状ではないでしょうか。

せっかく貴重な時間とコストを注いで大量の図面や書類を電子化したにもかかわらず、気がついたときにはデータを読み込むことが出来なくなっていた・・・

そのような悲劇を回避し、長期に渡って大切な情報資産を安全に運用するために何が重要かまとめました。

CD-R、DVD-R、ブルーレイディスクなどの光学メディアの耐久性

一般的な光学メディア

便利だが万能ではない光学メディア

光ディスクに保存されたデータそのものはデジタル信号のため、経年にともなうデータ劣化はありません。

しかしながら光ディスク自体の経年変化による物理的な変質は避けられず、ディスクの劣化が進行してデータの読み込みが出来なくなった時が記録媒体としての寿命となります。

デジタルデータとDVDのイメージ

一般的な光学メディアの耐久性

  • 基準を満たした良質なメディアを適正な環境で保管した場合、実験上の理論値として100年という保存期間が算出されています。しかしながらあくまで理想的な環境における数値に他ならず、実際の記録媒体としての寿命は異なります。
  • 製品の性能差や同一製品内の個体差を考慮すると実際の耐用年数は良くて10~30年というのが一般的な考え方となっています。
  • 市場に流通しているDVD-RやCD-Rには品質的に粗悪なメディアが含まれています。中には1~2年ほどで読み取りが出来なくなるものもあるため、そういったメディアを使用しないよう細心の注意を払う必要があります。
  • ブルーレイディスクはデータ容量が増えた半面、記憶領域を確保するために記録面の保護層が約0.1mmと薄くなっており (DVDは0.6mm) 傷や汚れに弱く、耐久性はDVDより低下しています。

色素にレーザーを当てて化学変化を起こすことでデータを記録するため、これが耐久性の限界や品質のばらつきにつながっています。

長期保存用の光学メディア

1000年弱の長期保存が可能なアーカイブ用メディア

米国millenniata社が新たに開発した長期保存用の「M-DISC」は、現在日本国内でも発売されています。

光・熱・湿度などによる経年劣化に非常に強く、数百年にわたってデータを保存可能と従来品に比べて大幅に保存期間が伸びています。

特許取得済みの金属系素材にレーザーでデータを刻み込む方式で、米国国防総省によるテストをパスした唯一のデータ保管用メディアになります。

長期保存用「M-DISC」の特徴

  • 「M-DISC DVD」と「M-DISC ブルーレイディスク(BD)」の2種類があります。
  • M-DISC DVDの容量は4.7G
  • M-DISC ブルーレイディスク(BD)の容量はSLが25GB、DLが50GB、TLが100GB
  • 読込は一般的なドライブで可能ですが、書込みはM-DISC専用のドライブが必要です。
  • 1回書込みしか行えない仕様のため、データの改ざんやミスによる上書きは基本的に起こり得ません。

劣化しにくい金属素材にレーザーで物理的に凹凸を刻み込むため高い耐久性を実現しています。

光学メディアのまとめ

一般的なCD-R · DVD-Rは耐用年数が長くなく、品質的にもばらつきがあるためお勧めしません。

「M-DISC」は耐久性において信頼のおける長期保管に相応しいメディアです。また1回書込み専用のため、操作ミスによる上書きで大切なデータを消してしまう危険性もありません。

メディア1枚当たりの単価も決して高すぎず投資するに値する金額と言えるのではないでしょうか。ただしデータを書き込む際に専用のドライブを必要とします。

「M-DISC」ほどの長期保管が必要ないのであれば、出来るだけ高品位なディスクに記録して、紫外線を防ぐために光を通さない黒のケースに入れることをお勧めします。さらにケースの中に乾燥剤を入れて高温多湿の場所を避けて保管してください。

USBメモリー · SSD · HDDの耐久性

USBメモリ

USBメモリの特徴と耐久性

USBメモリは最大書き換え回数が決まっており、その回数に達すると読み書きが出来なくなってしまいます。

特に市販の格安品の中には粗悪なものも含まれており、数百回~数千回程度で寿命を迎えてしまいます。

市販品で高耐久性の表記のあるタイプですと最大1万回程度の最大書き込み回数が目安です。

USBメモリの注意点

  • USBメモリーは不揮発性メモリに記録するため電源が切れても記憶された情報が消えないという特徴があります。しかしながら不揮発性メモリは時間とともに劣化し、やがて記録メディアとしての寿命を迎えます。
  • 経年劣化が起こる年数は市販の低価格のUSBメモリーで約1~3年、高耐久性の記載があるタイプでも約5~6年程度です。
  • デフラグを行うとUSBメモリの寿命を縮めてしまいますので、頻繁に行わないようにしてください。

USBメモリのまとめ

市販されている一般的なUSBメモリの寿命は長くて3年ほどと言われていますが、書込み回数が上限を超えると3年以内に寿命を迎えてしまいます。

このことからもUSBメモリーはデータの長期保管には向かず、あくまでファイルの一時的な保管用と考えたほうが良いでしょう。

SSD (ソリッドステートドライブ)

SSDの耐久性

HDDと異なり落下などの衝撃に強いという特徴を持っています。

SSD (ソリッドステートドライブ) の寿命はSSDに書き込めるデータ総量であるTotalbites Written (TBW) が指標として公開されています。

この指標だけ見ればSSDの寿命はHDDよりのびており5~20年程度の稼動が見込まれます。

しかしながら基盤などの故障については別の問題ですので、物理的に20年以上の使用に耐えることは難しいでしょう。

SSDドライブの注意点

  • SSDやUSBメモリなどのフラッシュメモリタイプの記録メディアは、複数年という長期間通電しないで放置しておくとデータが消えてしまう危険性があります。
  • SSDは作動中に発熱するため、PC本体ケース内で効率よく熱を放散出来ないとケース内の温度が上昇し、SSDやその他のパーツの寿命を縮めてしまいます。
  • 高温の状態に長く置くと、記録しているメモリ電荷が急速に消えていくという特徴があり、電荷がなくなるとデータも消えてしまいます。

SSDのまとめ

SSDは長期間通電しないとデータが消えてしまう可能性があります。ですから取り外したSSDでデータを長期間保管することが出来ません。

またSSDは誤ってフォーマットしたり削除したりするとデータを復元するのが非常に難しい記憶媒体で、復元できたとしても完全に戻るとは限らないため注意が必要です。

さらに比較的に新しい規格のため、SSDの寿命に関する情報がまだ多くありません。

こうした現状からみるとSSDをデータの長期保存に用いるのは避けるべきと言えるでしょう。

HDD (ハードディスクドライブ)

一般的なHDDの耐久性

一般的なHDD (ハードディスクドライブ) は磁気による記録であることや高速回転する性質上、その寿命は時間に換算して約1万時間です。

一日に8時間使用すれば3~4年で記憶媒体としての寿命を迎えてしまう計算になります。

高耐久仕様のHDDの登場

近年、NAS (ネットワーク対応HDD) への使用などを目的に高耐久仕様のHDDが登場しており、24時間365日連続駆動して平均故障時間が300万時間というモデルも発売されています。

HDDの注意点

  • HDDは動作中に物理的衝撃を受けると磁気ヘッドが高速回転する磁気ディスク (プラッタ) に触れる「ヘッドクラッシュ」が発生します。
  • 外付けHDDでは落下や転倒の危険性が内蔵タイプより格段に高くなります。
  • 内蔵HDDでもPC本体の移動中の落下や転倒の危険性があります。

HDDのまとめ

SSDやUSBメモリと違って長期間通電しなくてもデータが消えないHDDはデータの長期保存に向いています。

リスクマネジメントの観点から高耐久仕様のHDDを使用すれば、より安全に保存することが可能です。

またHDD特有の危険性を理解して出来る限り衝撃を加えないよう日頃から取扱いに注意することが大切です。

定期的なバックアップがデータの長期保管の鍵

光ディスクによる長期保管

保管環境を整える

光ディスクは適切な環境での保管を徹底してください。具体的には、直射日光にさらさない、高温多湿な環境を避ける、急激な温度変化を避けるなどが挙げられます。

また黒色の収納ケースの中に乾燥剤を入れて保管することで、傷や紫外線、そして湿度からディスクを守ることが出来ます。

直射と湿度を嫌うDVDのイメージ

「定期的」 · 「複数枚」を忘れずに

光ディスクの劣化が始まる前に、定期的に同じ規格のメディアにバックアップを作成することをおすすめします。

このとき同じデータディスクを複数枚作成することでより安全性が高まります。

HDDによる長期保管

高耐久仕様のHDDがおすすめ

大容量のデータを比較的に安価に保管出来るのがHDDの利点の一つです。しかしながら、耐久性に弱点があったため、出来るだけ早目に新しいHDDに変えるというのが従来の保管方法でした。

初期投資する金額は増えますが、機器のトラブルで一度失われたデータは決して戻ってこないこと、買替えサイクルが長くなることを考えると、安心 · 安全な高耐久仕様のHDDの導入を検討する価値は十分にあるのではないでしょうか。

バックアップの基本は1対1

パソコン内のデータをHDDに「移動」したのではバックアップになりません。必ずパソコン内にデータを残しつつ、HDD内にデータを「コピー」してください。

これによって初めてどちらかのデータが破損しても、もう一方から復元することが可能になります。

「継続的」なバックアップを強力にサポート

日々使用するパソコン内のデータは常に更新され増え続けています。

ですから大切なデータを失わないために、バックアップを継続して行くことがとても重要になります。

こうした作業を行う機能はOSの標準機能としても備わっています。またHDDに付属している専用のソフトウエアを使用すれば、より細かな指定をしてバックアップを行うことが出来ます。

自動化することで忘れずにバックアップを取り続けられるのもメリットです。

「複数台」でよりリスクを軽減

基本は1対1ですが、それでもまだリスクが残ります。一方のデータが破損してもう一方から復旧する際に正常なデータを操作ミスよって失ってしまう、こんな事も時に起こりうるからです。

バックアップを保存するHDDを2台にすれば、こうした事態にも備えることが可能になります。

HDDドライブも長期間動かさずに置いておくと、軸の部分の油分が固まって不具合の原因になる恐れがあります。

パソコン本体から外して保管している場合は、一年に一回くらいの頻度で起動しておくことをおすすめします。

データの長期保管とバックアップの「総まとめ」

実際に使用してみると課題が浮かび上がる光学メディア

品質の見えづらさが一番の課題

光学メディアの耐久性は、いくら製品が高品質 · 高耐久をうたっていても、必ず当たりはずれがあるというのが現実です。

しかも実際に使用して一定時間経過しないと結果が分かりません。そして結果が分かった時にはデータは破損しています。

このリスクは回避するためには、常に同一ディスクを複数枚作成する必要があるということになり、より手間と時間が必要となります。

バックアップディスクの作製に手間がかかる

HDDへのバックアップはソフトウェアで自動化することが出来ますが、光学メディアの作成はそうはいきません。

ライティングソフトを使用しての書き込みは、ディスクのデータ量をオーバーしないよう確認しながら、データの収まったフォルダを登録していく作業が必要です。

データが多くなれば、この作業には思っていた以上に手間がかかる上、いったん書込みが始まれば、終了までしばらく待つ時間も発生してしまいます。

また光学メディアは書込み速度という点でも進化が止った状態であり、変化が見られなくなって久しいというのも問題です。

データアクセスに時間がかかる

大容量データを記録したディスクをディスクトレイに入れると、読み込を開始してディスクを完全に認識するまでにかなりの時間を要します。

写真などのデータを探している際、ディスクの読み込みが完了しないと、個々の写真を探す作業を始められません。

利便性で一歩二歩先を行くHDD

耐久性の大幅な向上

HDDは破損の危険性からデータの長期保管用には向かないと言われて来ましたが、高耐久仕様のHDDが登場したことで状況が変わりました。

また従来型のHDDにおいては低価格化と大容量化が進み、買い替えサイクルを短くする手助けとなっています。

バックアップは自動保存で簡単 · 確実に

先述の通り、OSやソフトウェアを使用することで、定期的にしかも自動でバックアップを行うことが可能です。

うっかり忘れて長期間バックアップをとっていなかったという事態もこれで回避することが出来ます。

データへのアクセスが速い

HDDとパソコンをつなぐUSBケーブルの規格は進化しつづけています。

USB2.0で480Mbpsだった転送速度がUSB3.0では5Gbpsとなり、大量のバックアップデータの入ったHDDでも保存内容の認識にあまり時間がかからず、読み書きも格段に早くなりました。

USB3.2 Gen2x2ではさらに4倍の20Gbpsもの高速転送を可能にしていますから、将来的にはより一層の高速アクセスが期待できます。

データ消去も速い

バックアップをとったデータの中には、時間の経過とともに不要になるものが必ず出てきます。

HDDなら不要なデータを細かく指定して削除することが可能な上、削除にかかる時間も短くて済みます。

消去にはリスクも伴いますが、HDDを2台運用することでそのリスクは大幅に削減可能です。

最も安全確実で利便性を損なわない方法として、高耐久仕様のHDD2台にソフトウエアを使用して定期的にバックアップをとるという方法をおすすめします。

費用対効果の観点から従来型のHDDを使用する場合は、新しいHDDへの交換時期をきちんと把握して忘れずに交換してください。

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